ひとさじのときめき

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写真がもっと好きになりたくて。菅原一剛氏の本を読んだ。

落ち込んでいたある日、ひさしぶりに本屋さんに立ち寄ってみました。

あの時はほんとうに憂うつな時間の中に浸かっていて、楽しいことが楽しめず、「写真を撮りたい」という気持ちもどこかに置いてきてしまったようでした。

自分でも「このままではいけない」と思い、気持ちをどうにか方向転換したくて、立ち寄ることにしたのです。

そしてなんの気なしに平積みの本をながめていたところ、出会ったのがこの本でした。

 

「写真がもっと好きになる。改訂版」

著者 菅原一剛
発行所 インプレス
2023年1月21日 初版発行

写真がもっと好きになる。改訂版

ざらりとした本の装丁の手触りから、思わず手に取って読んでみました。

そこにはアマチュアの、カメラ初心者にむけて写真を撮るというテクニック以外にも、カメラと写真、もとい被写体との向き合い方みたいなことが、とてもわかりやすい文章で書かれているように思いました。
まるで目の前にいる読者に話しかけるように。

著者である菅原一剛氏は1960年生まれ、写真家として活動されている方です。
多くの個展を開催し、映画など活動は多岐におよび活躍されています。また日本赤十字社永年カメラマン、また大阪芸術大学客員教授もされているとのこと。

そしてこの本は、「ほぼ日刊イトイ新聞」にて連載されていた『写真がもっと好きになる。』をまとめたものの改訂版だそうです。

本の帯には、15年の時を経て、と書かれていました。
15年の間というと、カメラの性能はもちろんですが写真をとりまく環境はだいぶ変化してきていますね。いまやスマホひとつで誰もが簡単にいい写真を撮って、世界に発信できる時代になったんですから。

それでも「スマホで撮れば済む」ということに満足いかなくなってきて、ついには一眼レフを手にしてしまった私ですが、いかんせん独学。

カメラというものを難しく捉えてしまいがちで、知識も技術もまだまだ足りなくて。

でもこの本を読んでいると、難しく捉える必要なんかなくて、自分の目線で感じたままに撮ればいいんじゃなか?って思えてきます。
はじめっから狙ったような写真なんて撮れないですものね。

菅原氏は本の中でこう述べています。

自分の”思い”を込めて、シャッターを切ってみよう。
写真ができたら。その”思い”を
思い出しながら見てみよう。
その”思い”が写っていたら、
最高に嬉しいことだから!

 

  「写真がもっと好きになる。改訂版」より引用

そうか、そうだよなあ。技術はあとからついてくるだろうけど、そういう”思い”がのってる写真は心が揺さぶられるものがあるよなあ。

文面もさることながら、「撮る」ことに気負わず、構えずにいっていいんだと、なんだか気持ちが楽になるようでした。

写真にもっと自分の”思い”をそそげる時がくる。
その時は写真をもっと好きになっている。

あの時の私をそう予感させてくれた、あたたかな一冊です。

 

今日のときめきBGM
粉雪 / レミオロメン